6月18日 鈴木清純監督 松田優作主演 「陽炎座」

久々に鈴木清純監督の代表作のひとつ、
陽炎座」を観ました。


鈴木清純の映画を観ずして、
サイケデリック映画、難解映画、
映像美を語るべからず。


この洗練のされた独特のカット割は、
小津安二郎をも思い起こさせます。


主演の
松田優作は演技において相当悩んだことでしょう。
ツィゴイネルワイゼン」で主演を演じた
原田芳雄の方が、映画に溶け込んでいるのですから、
松田優作にとっては物凄く屈辱だったと思います。


夢だとか現実だとか、
劇中劇だとか、
そういう解釈の中では観られない映画です。
概念を取りさらって、
何度もみて、
少しずつ理解していく映画です。


技法や映像美の見所は
最後の舞台壊しと
品子がたらいの中に入り
ほおずきが水面一杯に広がるシーン。
ほんとに美しい。


最後の舞台壊しなんかは素晴らしいです。
市民ケーン」や「櫂」など
ラストで、
主人公の精神を表すような
崩壊シーンが見られる名作映画が多く存在します。
しかし、この崩壊は大変美しく洗練されており、
他の映画の崩壊シーンとは全く違う雰囲気が漂います。